TensorFlow チュートリアルまで
tensorflowGoogleが公開した人工知能ライブラリTensorFlowを使ってみる。 セットアップ方法はいくつか提供されているが、Dockerで動かすことにした。 Jupyter Notebookが立ち上がるのですぐに試せて良い。
$ docker run -it -p 8888:8888 gcr.io/tensorflow/tensorflow
http://localhost:8888/tree
公式のチュートリアルをまとめながら進めてみる。
The MNIST Data
MNISTというのは0~9の書き数字の画像のデータセットのことで、これらを正しく分類するのが目的。
それぞれの画像は一律28*28=784ピクセルで、それぞれのピクセルは0と1の間の数値(強さ)で表されている。 今回はこれの縦横を取っ払って784次元のベクトルとして扱っている。
したがって、学習用の画像データは[55000, 784]のtensor(n次元の配列)で表される。 55000というのが画像の数で、784というのがそれぞれの画像の次元を意味している。
それぞれの画像に対応した数字のラベルは[55000, 10]で表される。 10というのは、0~9それぞれに対応した次元のうち、一つだけ1で、それ以外が0という風に使われる。これをone-hot vectorという。
Softmax Regressions
Softmaxはいくつかの異なるもの(今回でいうと数字)に確率を割り当てる。
画像が特定のクラス(0~9)に属するかどうか計算するために、ピクセルの強さに重みを付けた合計を計算する。 もし、そのピクセルがそのクラスに属さない根拠になるなら負の重みがかかり、属する根拠になるなら、正の重みがかかるようにする。 また合計にさらに入力と無関係なクラスごとに異なるバイアスを足す。
全てのクラスで計算した値をsoftmax関数に入れ、それぞれ確率に変換する。この確率の和は1になるようになっている。
Implementing the Regression
Pythonでは行列の積のような重い処理をするとき、NumPyのようなライブラリを使ってPythonの外で行うが、 外からPythonに戻るときにオーバーヘッドが発生してしまう。 TensorFlowでも重い処理を外で行うが、オーバーヘッドを避けるために、 単体の重い処理をPythonから独立して実行するのではなく、Pythonの外側で実行される関連した処理のグラフを記述させる。
import tensorflow as tf
x = tf.placeholder(tf.float32, [None, 784])
W = tf.Variable(tf.zeros([784, 10]))
b = tf.Variable(tf.zeros([10]))
y = tf.nn.softmax(tf.matmul(x, W) + b)
tf.placeholder
は実行時に与えられる値で、今回が画像データ。
W(重み)とb(バイアス)は学習する変数。
tf.matmul(x, W) + b
の部分が重みを付けた合計にバイアスを足したものに対応している。
matmulはmatrix multiple、つまり行列の積。
Training
機械学習では一般的に、悪いモデルとは何か定義し、それを最小化しようとする。 一般的で、良い損失関数としてクロスエントロピーがある。
自己情報量、エントロピー、KL情報量、クロスエントロピー - sambaiz-net
y_ = tf.placeholder(tf.float32, [None, 10])
cross_entropy = tf.reduce_mean(-tf.reduce_sum(y_ * tf.log(y), reduction_indices=[1]))
y_が正しい答えで、これとy(softmaxで求めた各数字の確率)の対数の積をを次元ごとにとり、それらの和を求めて-1を掛ける。
reduction_indices=[1]
というのは[784, 10]の10の方を指しているようだ。
全ての学習データにおいてこれを求め、さらにそれらの平均をとったものがクロスエントロピーになる。
この値はy_とyが離れていれば大きくなるので、なるべく小さくすることが良いモデルにするということになる。
ではどうやってこの値を小さくするか、TensorFlowは関係する計算のグラフを持っているので、自動的にバックプロパゲーションを使って、どの変数がクロスエントロピーに影響しているか効率的に特定することができる。
以下のようにGradientDescent(勾配降下)Optimizerで0.5のleartning rateでクロスエントロピーが小さくなるように、変数を少しずつ変えていく。
ロジスティック回帰の尤度と交差エントロピー誤差と勾配降下法 - sambaiz-net
train_step = tf.train.GradientDescentOptimizer(0.5).minimize(cross_entropy)
これを使って学習していく。学習とテストに使うデータはこれ と
from tensorflow.examples.tutorials.mnist import input_data
mnist = input_data.read_data_sets("MNIST_data/", one_hot=True)
を実行すれば用意できるようになっている。
tf.Session()
とtf.run()
はSessionを取得し、モデルを実行するもの。
変数はtf.initialize_all_variables()
で初期化する必要がある。
batch_xsが画像のピクセルデータで、batch_ysが正しい答え。
sess.run()
のfeed_dict={x: batch_xs, y_: batch_ys}
はそれぞれ対応するplaceholderのところに与えられる。
init = tf.initialize_all_variables()
sess = tf.Session()
sess.run(init)
for i in range(1000):
batch_xs, batch_ys = mnist.train.next_batch(100)
sess.run(train_step, feed_dict={x: batch_xs, y_: batch_ys})
このような小さいランダムなデータを使うのはstochastic(確率的) trainingと呼ばれていて、 今回はstochastic gradient descent。 理想的には全てのデータを全ての訓練のステップで使いたいが、コストがかかるので代わりに毎回異なるサブセットを使うことで 同じ効果を得ている。
Evaluating Our Model
モデルがどのくらい良いかを測る。
以下のcorrect_predictionではtf.argmax
で最も数値の大きい、つまり確率の高いラベルを取得し、これが正解のものと一致するかというのを
画像データごとに比較している。
結果、[True, False, True, True]であるなら、これを[1, 0, 1, 1]にキャストし、平均を取ったものがaccuracy、正解率となる。
そしてこの値をテスト用のデータで出力している。
correct_prediction = tf.equal(tf.argmax(y,1), tf.argmax(y_,1))
accuracy = tf.reduce_mean(tf.cast(correct_prediction, tf.float32))
print(sess.run(accuracy, feed_dict={x: mnist.test.images, y_: mnist.test.labels}))
> 0.9206
この簡単なモデルだと正解率は92%になったが、実はこれは非常に悪いとのこと。 モデルにもう少し変更を加えるだけで97%になったりするらしい。